★ クラフト・ワールド ★
クリエイター淀川(wxuh3447)
管理番号873-6356 オファー日2009-01-17(土) 23:49
オファーPC ソルファ(cyhp6009) ムービースター 男 19歳 気まぐれな助っ人
<ノベル>

 ――クラフト・ワールド
 CGによる華麗なアクションと観る者を圧倒するスピードで展開されるバトルシーンが話題となった映画で幾多の戦いを潜り抜け荒廃した都市で必死に生きようとする主人公を描いた作品である。

 乾いた空気と、舞い上がる砂埃。そして崩れさったコンクリートやひん曲がった金属。目新しいのは世界の中心『タクトタワー』周辺のみ。それ以外のエリアは土地も人も皆荒廃しきっている。
 物語の主人公は至って普通の青年である。黒髪、のショートカットに、中肉中背。そんな『彼』はもう一人の『相棒』と一緒にこの世界を旅する。世界の真実を探すために。


 ――ここはレザック・シティ。その町のとあるスラムの裏路地にて。
 『彼』と『相棒』はこのエリアを仕切るマフィアに絡まれていた。チンピラ風情があふれんばかりのマフィアたちは二人相手に十人位は居るだろうか。多人数で絡んでいた。『彼』が胸倉をつかまれる。『相棒』がそれをとめようとするがマフィアの頭らしい男に払いのけられ、壁にぶち当たる。そして……その衝撃でバランスを崩したコンクリートの塊が『相棒』を襲った。
「――!!」
 言葉にならない悲鳴があたりを駆け抜けた。その声を聞いて、マフィアの頭はニィッと狂気染みた笑みを浮かべたのだった。そして、視線を『彼』へと向ける。
「次はお前だ。一体何を嗅ぎ回ってんだ?」
 その問いに答えるように持っていた『彼』の獲物――西洋の剣『トラッド』を振るう。しかし、悠々とその攻撃をかわすマフィア達。嘲笑を浮かべ頭が手を振るうと手下たちが『彼』に向かって飛び掛った。最初は彼も持ち前の運動神経で攻撃をかわし応戦していたが、次第にその足取りも遅くなり……次々と攻撃が当たってしまう。ついには膝をついて動けなくなってしまった。
「仕舞いだ。アバヨ」
 頭は銃を『彼』に向けると引き金を引いた。

――キィン

「あ、貴方は……」
 『彼』の前に立っていたのは青き髪の青年だった。青年は『彼』をじっと見ている。青年の手には一本の脇差。……発射された弾丸はその刀身よって真っ二つにされたのだった。
「誰だてめぇは!」
「かまわねぇ!お前らやっちまえ!」
 頭が二人を指すと手下が目掛けて飛び掛る。すると青年は『彼』を軽々と担ぎ上げ、高く高く、跳躍し攻撃を避けた。マフィア達の背後に着地したと同時に『彼』を優しく立たせると、背を向け腰から銃を取り出した。『彼』は正直困惑していたのだが。背中をこちらに向けるということは文字通り「背中を預ける」という行為である。なぜ見ず知らずの人間にこんなことが出来るのかがわからない。
 しかし『彼』も背中を預けざるを得なかった。再びマフィア達が攻撃してきたのである。
「信じて、いいんですね?」
 そういうと青年は青い髪を揺らしながら頷いた。

 青年は、強かった。それも圧倒的に。
 銃を向けられたなら目にも留まらぬ速さで間合いを詰め、左手に持った刀で銃身を叩き切り、どてっ腹に間違いなく2発銃弾を叩き込む。振り返り様には銃弾の嵐。そして飛んできた銃弾は刀で叩き落とす。まさに鬼神の如き動きで状況をひっくり返したのだった。

 刀を一振りすれば銃が宙に舞い、
 刀を二振りすれば空気が裂ける。

 青年は、次々とマフィア達を倒していく。

 銃を一度鳴らせば絶叫があがり、
 銃を二度鳴らせば悲鳴は消える。

 銃声が何発もコンクリートの壁に反響しながら辺りを駆け抜けていく。次第にその数は少なくなっていく。青年は出来るだけ『彼』への負担を減らすように動いていた。マフィアからの攻撃が集中するが、お構いなしに銃弾を掻い潜り、時に壁を駆け上がり空に舞う。唖然とし、その光景を見ている敵の背後に降り立ち一気に切りつける。その様子はマフィアだけでなく『彼』もが見惚れるかの如く華麗であった。
 気がつけば、マフィアのほぼ全員が地べたへと這いつくばっていた。つかの間の事であった。『彼』もあまりの事に驚きを隠せないでいた。
 青年が『彼』にくいっと合図を送る。そう、今立っているのは『彼』と『青年』と『マフィアの頭』だけなのだ。『彼』は頷くとマフィアの頭に向かって剣を突きつける。
「黒幕は……誰だ」
 『彼』は常日頃から気になっていた。この世界はどうしてこんなにも無秩序なのか。どうしてこんなに荒廃しているのか。そしてあの『タクトタワー』とは何物なのか。皆何気なく暮らしていて気がつかないかもしれないが、何かがおかしいと。そう『彼』は気がついてしまった。だからそれを解明するために世界を歩いている。
「知るか。たとえ知っていても、お前にその情報を理解出来るとは思えないがな」
 クックックッ、と肩を揺らせ笑うと、こう言い放った。
「一つだけ面白いことを教えてやろう。人が『カミサマ』を作れるのか。そういうことだ」
 ちらりと青年の方を見てにやりと笑うと、隠し持っていた小型の銃で、己の頭を撃ちぬいた。
「どういう、ことなんだ……?」
 困惑した表情の『彼』。しかし、すぐさま慌てたように『相棒』が埋もれてしまったコンクリートの山の方へと駆け足で向かうのだった。青年も手伝ってか、何とか相棒を救出することに成功した。多少の怪我はしているものの意識を失っているだけで命に別状はなさそうであった。おそらくコンクリートとコンクリートが重なり合い、空洞が奇跡的に出来ていたのだろう。
「本当に、ありがとうございます」
 『彼』はそういうと一礼をした。青年はそれを聞いて尻尾を嬉しそうに振りながら同じように手を振って二人から離れていった。その後ろ姿を見て、ハッとした。『彼』は一度青年と会ったことがある。この町に来てすぐに。浮浪者に絡まれていたときに誰かが割って入ってきて、あごでくいっと逃げろと合図をくれた。あの時は青年はフードを深く被っており気がつかなかったがあの尻尾を見て思い出した。あの時の青年だったのだ。『彼』はそれに気がつくと、もう一度お辞儀をし、ありがとう、と大きな声で叫んだ。聞こえたか聞こえなかったかはわからないが心なしか青年の尻尾は嬉しそうに揺れていた気がする。

 その後、マフィアの支配から解放された町には平和と活気が戻り、『彼』は町の人から感謝される。だが、彼は謝礼は受けとらずに世界の謎を解明するために次の町へと行くのを決めるのだった。
 また、あの不思議な尻尾を生やした青年――ソルファ――と会えるかも知れない期待を胸に抱きながら。

クリエイターコメント捏造にもほどがある気がします。気に入っていただけるといいのですが……あらぬ方向へ走っていたらごめんなさい。(平伏)
一応名称が出てるもの(剣とか建物)は音楽関係でつけてみました。
この度はオファーありがとうございました。設定とかものすごく楽しかったです。
また、機会があればよろしくお願い致します。
公開日時2009-02-02(月) 18:00
感想メールはこちらから